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天皇賞(秋)
解析・統計

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１．１番人気敗退の謎

天皇賞・秋にまつわる謎は、何と言っても１番人気が勝てないどころか、連対も厳しいこと。そして、ここ１０年以上勝てない時期が続いた。近年では、シンボリルドルフ、トウカイテイオー、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ、ナリタブライアンというＧ�T３勝以上の層々たる面々がそこに含まれるというのだから、驚きである。しかし、その内訳は、不利や故障が多い。Ｈ３年のメジロマックイーンはぶっちぎったにも関わらず降着。連対継続中だったＨ６年のビワハヤヒデは故障で失速。更にはＨ１０年のサイレンススズカで、負ける理由がないと思われたが、競走中に天に還った。何か見えない力が働いているのではないかと思われるのだが･･･。Ｈ１２年は史上初の古馬中〜長距離Ｇ�T全勝というグランドスラムがテイエムオペラオーによって達成されたが、これでジンクスが消滅するとは思えない。

あまりにミステリーめいていて、残念ながらその謎は未だ解明できていない。我々の急務であると認識しているが…。ちなみに、現時点での探偵結果を少し好評しておこう。上記に列挙した「層々たる面々」は近年の名馬中の名馬達で、天皇賞・秋など圧勝できた実力の持ち主達だ。そんな彼らが、謎の敗因によって敗れ去って行った。そのレースにおいて勝利を収めた、「幸運な？」天皇賞馬達を見てみよう。

シンボリルドルフ　　…　ギャロップダイナ
メジロマックイーン　…　プレクラスニー　　　　
トウカイテイオー　　…　レッツゴーターキン
ビワハヤヒデ　　　　…　ネーハイシーザー
ナリタブライアン　　…　サクラチトセオー
サイレンススズカ　　…　オフサイドトラップ

いずれ劣らぬ、古馬Ｇ�T戦線の脇役達ばかりではないか。そして皆Ｇ�T勝ちはこの天皇賞のみ。これは一体何を物語っているのか。

２．コース特性

東京の2000ｍはスタートしてすぐに急カーブがあるので、大外枠は明らかに不利な点は否めない。有力馬の中で、内枠の先行馬と大外枠の差し馬とを比べたら、かなり前者に有利に運ぶことであろう。 しかし、このコースは改修されたので、今後、究明していく予定である。

３．他レースとの深い関係

（１）天皇賞・春との関係

近年、ステイヤーよりマイラー有利の天皇賞と言われて久しいが、春の天皇賞との関係を考えると、春に出走していた６歳以上の馬はまず連に絡んでいない。平成元年以降では、１１年２着のステイゴールドと１４年２着のナリタトップロードだけである。

（２）京都大賞典との関係

最近の京都大賞典の１、２着馬はほぼ秋のＧ�Tで連対しているのだが、天皇賞とは縁が薄い。これは決して無視できない点と言えるだろう。また、前２走とも2200ｍ以上を使ってきた６歳以上の馬も天皇賞ではまず連に絡んでいないので、天皇賞・春か宝塚記念に出走し、秋１戦目で京都大章典を使ってきた６歳以上の馬はほとんど可能性がないことになる。ところが、Ｈ１１年は１、２着とも京都大賞典組で、しかも２着ステイゴールドが６歳。Ｈ１２年はここ１着のテイエムオペラオーが天皇賞・秋でも１着と、この法則の価値は薄れてしまった。しかし以下に示すように、全く間違った法則であるとは思わない。京都大賞典に出走していただけで外す理由はなくなってしまったが、京都大賞典の連対馬が天皇賞・秋で断然弱いことは立証される。

＊平成元年以降の天皇賞・秋での連対馬で、京都大賞典でも連対していた馬
平成１年　１着　スーパークリーク
平成１２年　１着　テイエムオペラオー
平成１３年　２着　テイエムオペラオー
平成１４年　２着　ナリタトップロード
平成１６年　１着　ゼンノロブロイ

なにせ、平成元年以降、この５例しかないのであるから。そして、

＊京都大賞典に「出走」していた馬
平成１年　１着　スーパークリーク
平成１１年　１着　スペシャルウィーク
２着　ステイゴールド
平成１２年　１着　テイエムオペラオー
平成１３年　２着　テイエムオペラオー
平成１４年　２着　ナリタトップロード
平成１６年　１着　ゼンノロブロイ

平成１１年の２頭が含まれる。

（３）毎日王冠との関係

（２）の逆に、秋１戦目で毎日王冠を使ってきた馬の方がはるかに有利である。連対はしていなくとも、入着した馬は無視しないほうがいいだろう。ではこちらも、（　）内の人気とともに見てみよう　

＊平成元年以降の天皇賞・秋の連対馬で、毎日王冠でも連対していた馬
平成１年　２着　オグリキャップ（１）
平成３年　１着　プレクラスニー（３）
平成５年　２着　セキテイリュウオー（６）
平成６年　１着　ネーハイシーザー（３）
平成９年　２着　バブルガムフェロー（１）
平成１８年　１着　ダイワメジャー（４）　
平成１９年　２着　アグネスアーク（７）

＊毎日王冠に「出走」していた馬
平成１年　２着　オグリキャップ（１）
平成３年　１着　プレクラスニー（３）
２着　カリブソング（４）
平成５年　１着　ヤマニンゼファー（５）
２着　セキテイリュウオー（６）
平成６年　１着　ネーハイシーザー（３）
２着　セキテイリュウオー（８）
平成７年　１着　サクラチトセオー（２）
２着　ジェニュイン（４）
平成８年　１着　バブルガムフェロー（３）
平成９年　２着　バブルガムフェロー（１）
平成１８年　１着　ダイワメジャー（４）
平成１９年　２着　アグネスアーク（７）

平成の一桁代の年では京都大賞典組より圧倒的に有利であった。平成の二桁代の年では京都大賞典組の方が逆に有利であったが、最近のトレンドは、その他の路線組ということになろうか。平成１８年に久々にダイワメジャーが１着となったが、この傾向がしばらく続くようなら、また毎日王冠組の巻き返しとなりそうだ。しばらく様子をみていよう。

（４）有馬記念との関係

有馬記念の項で詳述しているが、天皇賞連対馬と有馬記念連対馬の関係は極めて薄い。ということは、天皇賞の2000ｍよりも有馬記念の2500ｍのほうが有利に立てる有力馬は、連対は難しいということになる。そこが、2200ｍ以上のレースを勝ってきた１番人気馬が勝てない理由なのかもしれない。実際に、上記の過去の１番人気馬（シンボリルドルフ、トウカイテイオー、ビワハヤヒデ、ナリタブライアン、サクラローレルら）は、その年でなくとも、有馬記念での連対経験を持っている。逆にいえば、有馬記念では厳しいと思われる馬のほうが狙い目である。さすがにトップを張ってきた馬は外しにくいものだが、結果的にこない割合のほうが断然に大きいことからして、割り切りが必要だろう。また、（２）と絡めると、京都大賞典からの参戦組は有馬記念で連対する傾向があることから、やはり天皇賞・秋とはかなり関係が薄いことが実証される。有馬記念対策を付け加えると、天皇賞連対馬はなるべく買わない方がいいだろう。

（５）ジャパンカップとの関係

天皇賞とＪＣの連対馬との関係は、有馬記念のそれほど薄くはない。天皇賞の連対馬をＪＣで外す必要はなく、特に意識しないほうがいいだろう。

４．２１世紀の天皇賞・秋はどうなるのか？

世紀末2000年に、永く続いた１番人気敗退のジンクスはテイエムオペラオーによって破られた。そしてこの年、初めて天皇賞が外国産馬にも開放され、メイショウドトウが記念すべき初年度に２着に健闘し、ＮＨＫマイルカップの勝ち馬イーグルカフェも掲示板を確保した。１番人気敗退のジンクスはどうなるのか。京都大賞典組と毎日王冠組はどちらが有利なのか。

近年、ステイヤーの立場がどんどん低下している。菊花賞、天皇賞・春では相変わらず上がりだけの競馬となり、天皇賞・春の勝ち馬も、中距離で一番強い馬が勝つようになってきた。2000ｍの天皇賞でもレコードをたたき出したスペシャルウィークなどは、新時代のスーパーホースの象徴でもある。毎日王冠を経由してきたマイル〜中距離の馬が、天皇賞・春の勝ち馬よりも天皇賞・秋で優勢だったのは、瞬発力比べで明らかに部があったからではなかろうか。しかし、それが逆転の方向に向かっている。

ＮＨＫマイルカップの勝ち馬も、よほどの馬でない限り天皇賞での連対は難しそうだ、古馬の外国産馬も、宝塚記念を勝てるレベルでないと勝つのは難しいだろう。

そういう意味では、京都大賞典を経由してくる古馬の内国産エースは2000ｍの天皇賞・秋でもかなり信頼できる存在となるだろう。そうすると、京都大賞典のジンクスや１番人気敗退のジンクスも崩壊を迎えるようになるかもしれない。もっとも、このような仮説は全く逆の結果になることも考えられる。外国産馬の独壇場となる時が来ても誰も疑わないだろう。

天皇賞・秋とはもっともややこしいＧ�Tの一つになりそうだ。

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